デザイナーズ物件のメリット・デメリット

デザイナーズマンションと聞くとどんな物件を思い浮かべますか?コンクリート打ちっぱなし?壁一面の大きな窓?それともスキップフロア?

実はデザイナーズマンションには「これがデザイナーズだ」という定義も法的な決まりもありません。言ってしまえば建てた人が「ここはデザイナーズマンションです」と言えば、デザイナーズマンションを名乗っても問題ありません。

そんななんとなくあやふやな存在ですが、やっぱりおしゃれで都会的なイメージから人気は高いです。実際の住み心地はどうなのでしょう?

デザイナーズマンション居住経験者に聞いてみよう

そもそもデザイナーズマンションとは、その名の通りデザイナーがコンセプトを立て、それに基づいて設計した主張のあるマンションです。とは言え、普通の人は建築デザイナーなんて丹下健三さんレベルでないと知らないですよね。

「○○さんのデザインによるマンションです」と言われても、「そうですか」としか言いようがないかもしれません。

さらに物事をややこしくしているのが、「デザイナーズマンション風」の物件です。そう聞いたら多くの人は「風ってなんだ?」と思うでしょう。さらに最近は「デザイナーズ・リノベーション物件」なんていうのも流行っていて、何がなにやらという感じだと思います。

基本的にこれがデザイナーズ物件だというはっきりした定義がない以上、「コンクリート打ちっぱなし」とか「なんとなくおしゃれ」で「少し奇抜」な感じがするマンションで設計者の名前が前面に出ている物件がデザイナーズマンションで、それに近いテーストだが特にデザイナーの名前を出していないような物件は「デザイナーズマンション風」と考えていいと思います。

デザイナーズマンションの特徴

デザイナーによって個性がまちまちであるように、デザイナーズマンションも個性的な部屋が多いのですが、「まあ大体こんな感じ」という感覚的な特徴はあります。

「住みにくい」は誤解です

まず、デザイナーズマンションというと、設計者が自分の個性を売りたいがために、住んでいる人の住みやすさを犠牲にしているから住みづらいという人がいますが、これはまったくの誤解です。たぶん、そう言う人は実際にデザイナーズマンションに住んだことがないか、間違った選択をしてしまった人です。

なぜなら、普通の賃貸用の建物は建てる人間が収益性など自分の利益を最大限に大きくするにはどうしたらいいかから考え始めるパターンが多いでしょう。しかし、デザイナーズマンションの場合、まず設計者はそこに住んでいる人の目線からコンセプトを立て、考え始めます。つまり、まず「人」が先に来るのがデザイナーズマンションなのです。

もちろん美観も大きなファクターになりますが、設計のプロである人間が住む人の目線から考えるわけですから、いかに気持ちよく住めるかが第一条件になっていることは間違いありません。

なぜコンクリート打ちっぱなし

デザイナーズマンションというとコンクリート打ちっぱなしというイメージは多くの人が持っていると思います。この概念の元は、世界遺産にもなっているフランスのル・アーヴルという都市だと思われます。

第二次世界大戦の空爆によってめちゃくちゃにされたル・アーヴルの街を再建させたのが、デザイナーのオーギュスト・ペレでした。彼はコンクリートとガラスという現代的な素材をシンプルに使用した四角い団地を多く作りましたが、これが街全体で見ると実にモダンで美しいのです。

現在でも、団地マニア、建築マニアだけでなく世界中の観光客がこの街並みを見るために訪れますが、このシンプルでありながらモダン美にあふれた感覚が、バブル前後から激増した日本におけるデザイナーズマンションのスタンダードになったのだと思います。

ハイグレード物件が多い

それだけデザインに凝るわけですから、当然物件そのもののグレードも高いところがほとんどです。特にデザイナーズ物件は防音性に優れたところが多いので、静かに暮らしたい人にはおすすめです。

また、シンクや洗面台からドアノブにいたるまで、こだわったいい素材を使っているところが多いため、「毎日貧乏くさい思いはしたくない」という人にも向いていると言えるでしょう。ただし、「デザイナーズ風」の場合は、大理石だと思ったら張りぼてだったとか、なんちゃっての見た目だけというケースも多いので、そこはよく見て自分が満足できるかどうか考えましょう。

天井が高い

デザイナーズマンションは天井が高いことが多いです。部屋全体の実際の広さより、天井の高さのほうが実際に生活する上では解放感があるので、天井が高い部屋はそれだけで贅沢な気分になります。

よく考えて決めよう

確かにおしゃれで個性的なデザイナーズマンションですが、いいことばかりではありません。自分に合わない物件に住んでしまうと、住みづらく感じるかもしれません。

自分の個性は出しにくい

すでにデザイナーの色が強く出ているので、自分自身のオリジナルのインテリアのエッセンスをうまく融合させるのはなかなか難しいです。ともすればバラバラ、ちぐはぐになってしまうので、結局自分の個性はあきらめて、家具選びの時も自分が好きかどうかではなく、部屋に合うかどうかを優先するようになります。

冷暖房の利きがイマイチなことも

コンクリート打ちっぱなしは転んだりぶつかったりするととても痛いということの他に、夏暑く冬寒いという特徴があります。さらにハイグレードなため密閉性が高い部屋では、カビや結露の恐れもあり、万一デザイナーズマンションでカビをはやしてしまうと、びっくりするくらい高額の清掃費を請求されるかもしれません。

掃除がしにくいかも

高い天井は解放感がある代わりに、掃除のしにくさを意味します。天井の上のほうまでモップ雑巾は届かないこともあります。また、天井のペンダントライトが切れてしまった場合、取り替えるのにもテーブルの上に脚立を置き、さらにそこから背伸びしなければいけないなど、「これは命がけなのではないか」と思うこともあります。

運よく面倒見のよい管理会社か大家が近所にいるか、コンシェルジュや親切な管理人さんがいれば、電球の取り換えや高いところのメンテナンスをお願いしてやってもらえることもありますが、それはあまり期待できないので、特に女性の一人暮らしを考えているなら、そういう先々のことを考えてから決めたほうがいいと思います。

人を呼びづらいことも

解放感を第一に考えた設計の場合、部屋の抜け感を最重要視するため、バスルームの境目が全面ガラスという物件があります。また、多くのデザイナーズマンションは西洋風にするため、バストイレは同室になっているため、トイレ中の姿が丸見えです。

これではちょっと人は呼びづらいですよね。内側にカーテンをかけられるようになっている造りもありますが、やってしまうとせっかくのデザイナーズ感はかなり台無しになります。

やっぱり周辺に比べて家賃が高い

最初はいいと思っても、やっぱり近所の友達と家賃の話をしていて、自分が割高な家賃を払っているなあと思うと損した気分にはなります。税金対策でわざと高いところを借りるならいいのですが。

まとめ

実際に住んでみた感想から、デザイナーズマンションのいい点、悪い点を書いてきましたが、基本的にデザイナーズマンションに向いている人と向いていない人がいます。自分のオリジナルのインテリアを目指す人は向いていません。

しかし、センスのいい部屋に住みたいけど何をどうしていいかわからないという人には、最初からおしゃれがパッケージされているデザイナーズマンションはうってつけだと思います。

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