敷金が返ってこない!?原状回復の範囲をガイドラインで確認しよう

敷金は、大家に払ったのではなく預けている自分のお金です。退去するときに家賃の滞納がなく、室内の修繕の必要もなければ、戻ってくるものと期待もしますよね。しかし、それどころか逆に不足分を請求されたりして、大家と仲介会社と借主の間でトラブルになることがあります。

なぜそうなってしまうのか、そしてトラブルになってしまったらどうすべきかについて説明します。

敷金精算書は内訳を明記してもらおう

賃貸物件を退去しても、その後敷金の精算書が一向に送られてくる気配がないが、請求して良いのか、へたに請求すると余計なものまで払わされるのではないか、と曖昧なままにしておく人はいませんか。

敷金は自分のお金なのですから、退去後の室内清掃や敷金から差し引かれる修繕内容について、知る権利があります。

敷金精算の方法は不動産会社によりさまざま

賃貸住宅の退去後、1か月以上経過してから敷金の返還があることが多いと思います。たいていは退去時に自分の振込口座を知らせて、そこに送金してもらうことになります。そこに至る経緯も不動産会社によりさまざまで、何の知らせもなく、通帳の記帳をしたときに不動産会社の名前で振り込まれているのを発見して驚いたという人もいます。

それが、高額だったので驚いたということなら良いのですが、そうではなく、あまりにも少額過ぎて驚くのではガッカリですね。納得がいかないので、何にどれだけかかったのか知りたいと明細書を請求してからやっと発行してくれる有り様というところもあります。

本来なら、退去立ち会いの際に不動産会社立ち会いのもと、場合により内装工事業者も同席のもと、修繕の必要な箇所の確認をして、概算の見積金額を提示し、お互い了承する、という一連の流れが理想的です。

しかし、それらがなく何の説明もないまま、ほんの微々たる金額が振り込まれていても当然納得できるものではありません。修繕費の合計金額だけ記載された精算書が郵送で届くこともあります。

ドア、クロス、畳表替え、換気扇修理代として○○万円、などというものもありますが、これでは何にいくらかかっているのか、それが正当なのか、不当なのかすら分かりません。

修繕費用の内容を確認してどこをどう直すのか明確にしよう

精算書ならまだしも、敷金の返還もなく何の音沙汰もないまま、いきなり敷金では不足しているため追加の請求書が届き慌てる人もいるようです。まずは、修繕の内容と材料費、施工代などを明確にする必要があります。

誠実な不動産会社なら、内装工事業者の見積もりを着手前に見せてくれるはずです。なかなか見せたがらない会社もありますが、どこにどんな不具合があり、どのような修理をしたのかは知る権利があります。きちんと書面にして送ってもらいましょう。

そこまで訴えると、ここは間違っていました、などと減額になることがあります。また、大家には内緒で不動産会社が勝手に中間搾取していることもあるため注意が必要です。

国土交通省が公示する敷金返還のルールブックでは

貸し手と借り手の間で昔から敷金に関するトラブルが後をたたないことから、国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公示しています。借り手側が著しく不利にならないよう過去の事例を紹介し、原状回復の費用負担について、妥当と思われる基準を示したものです。

国土交通省のホームページで173ページにも渡るものが閲覧できますので、参考になる部分だけでも見ておくと良いでしょう。

※参照元URL: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

原状回復は借りた当時の状態に戻すことではない

賃貸借契約書には、借り手である入居者は契約を解除して退去する際には、原状回復の義務がある、との条文があります。借りた住宅は、自分の荷物を残していったりゴミを置いていったりすることなく、壊した設備があれば修繕して、元のようにきれいにしてから退去すること、というルールを「原状回復の義務」と言います。

多くの人が誤解している原状回復の本当の意味は、借り手が入居当時の状態に戻さなければいけない、ということではありません。

経年変化・通常損耗は借主の負担にはならない

入居の年数が長いほど、室内の壁紙や畳は通常に使用していても日焼けのため色褪せが起こります。畳にしても普通に歩いているだけで表面がささくれ立ってきます。そのような借り手に責任のない通常損耗や自然損耗に対しては、入居当時の状態よりも悪くなっていたとしても責任を追うことはなく、そのまま返還して良いことになっています。

どこまでを借り手側の費用負担とするのか

入居中に不注意で壁紙の一部にキズを付けてしまった、というときは、平米単位での負担とすることが望ましいとされています。しかし、そこだけ貼り替えるのも不自然なため、一面分は貼り替えることになるでしょう。

やむをえないときは一面分の費用負担を借り手が負担することが妥当ともしています。しかし、そのときの壁紙を以前よりグレードアップした材質のものに変更するようなときは、そこまで負担する必要はないとしています。

大家が借り手により原状回復以上の利益を得ることのないよう、また借り手は住宅の価値を減少することなく復旧するためのバランスを取るためです。しかし、借り手が日常の生活において、善管注意義務を怠ったと認められれば、原状回復のための費用を支払わなければなりません。

善管注意義務とは

普段の生活において通常の掃除をしなかったことにより、カビや通常の清掃では除去できない汚損などがある場合は、借り手の費用負担で原状回復するための清掃費や修繕費がかかります。これに対しては、入居契約前の重要事項の説明が不動産会社からあったはずです。

通常の掃除や手入れをしていれば十分

善管注意義務というと堅苦しく聞こえますが、何もプロのハウスクリーニング業者に定期的に掃除を依頼してきれいな状態を保つようなことは必要ありません。

普通に掃除機をかけたり、掃いたり拭いたり、キッチンやコンロ周りの油汚れを放置しないようにしたり、浴室の換気をよくしてカビを生えさせないようにしたり、日常の手入れをしてさえおけば十分です。目立ってきた汚れがあれば、その都度きれいにしておけば、退去のときにプロの手が必要になるほどの頑固な汚れにはならないはずです。

退去の立ち会い確認では納得がいかないときはサインをしない

退去の際の立ち会い確認は必ず行ってください。遠方に引越しをしたため交通費がもったいない、往復する時間がもったいない、というのでは、取り戻せるはずの敷金が戻らず、もっともったいない思いをすることになります。

入居時のチェックリストに基づき、最初からあったキズかどうか、一つひとつにつき確認していき記録します。自分が不注意で付けてしまったキズや汚れは、修繕費を負担することになります。その際に、大体いくらぐらいになると思います、と説明があるので、納得できればサインをして終了になります。

もし、そこで自分に覚えのない損傷や、設備の経年劣化による修理代まで請求されるようなことがあれば、その場ではサインをしないでください。これでは納得できかねるので詳しい人に相談してみる、知り合いの工事業者などに聞いてから返事をする、と伝えれば良いでしょう。

困ったときの相談窓口

全国借地借家人組合連合会は、賃貸住宅に住んだり土地を借りている人たちの助けとなるべく、不当な地代や家賃の値上げや、敷金の未返還、立ち退き要求などの問題の解決を目指すために結成されました。

他府県の組合や連合会の地域相談窓口の連絡先が掲載されています。借家に住む人のさまざまなトラブルに対して、専門の相談員が電話による無料相談を行っています。

※参照元URL: 全国借地借家人組合連合会

全国47都道府県にある宅地建物取引業協会が公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会と共同で運営する不動産無料相談の窓口です。賃貸住宅に住む上での相談や、不動産に関する疑問なども受け付けています。

※参照元URL: 全国宅地建物取引業協会連合会

まとめ

以前の住宅難だった頃とは違い、今は借り手市場と言いながらも、不動産会社や大家に比べると、まだまだ借り手としての一個人は弱い立場であると言わざるを得ません。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は借り手の権利を守る心強いルールブックです。

しかし、この存在を知らない人は、敷金の返還問題で泣き寝入りしているかもしれません。また、ガイドラインで一定のルールが制定されても、賃貸借契約書に記載された内容が優先されます。

ただし、借り手に著しく不利な内容は無効となるので、おかしいと感じたときにはガイドラインを示し説明を求めましょう。そこで真っ当な説明ができずはぐらかしたりする不動産会社とは契約しないほうが身のためです。

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