リフォーム物件とリノベーションの物件の特徴と違い

リフォーム物件とリノベーションの物件の特徴と違い

部屋を借りるときによく聞く言葉に「リフォーム」と「リノベーション」があります。響きが似ているため、よく違いが判らず混同している人が多いようですが、この二つには明確な違いがあります。理想の部屋に一歩でも近づくためにも、不動産用語を正しく理解するようにしましょう。

リフォームとリノベーション

賃貸住宅の入居者募集広告を見ると、「リフォーム済」とか「リノベーション物件」とよく書いてあります。リフォームもリノベーションも古くなったものや劣化したものの状態を良くすることには変わりませんが、この二つの大きな違いは直す規模の大きさです。

小規模はリフォーム、大規模はリノベーション

部屋の壁を塗り替えたり、キッチンの古くなったシンクを新しいものに変える、あるいは床をフローリングにする、これらはリフォームです。劣化したものを本来のピカピカの新築の状態の時のように戻すことをリフォームといい、それほど大規模な工事は発生しません。

その一方で多少古い映画で恐縮ですが、「ゴースト」という映画でデミ・ムーアとパトリック・スウェイジが古い倉庫を買い取って自分たちでハンマーで壁をぶち抜いているシーンがありました。このように部屋の間取りや配管など、大きな工事を伴うような変更をリノベーションと言います。

一時期都心部では「リノベーションマンション」が爆発的に流行しましたが、これは古くインフラが整っていないオフィスビルを会社やファンドで買い取り、それを新たに居住用にするために法律をクリアする大がかりな工事を行ったものです。都心ど真ん中など、立地が抜群に良いにも関わらず建物自体は古いということで、家賃は周辺ほど高くはなく、またSOHOもOKという物件が多かったため、入居希望者が殺到しました。

このようにオフィスビルから住居とか、工場から住居、倉庫から住居など、建物自体の用途を変えてしまうこともリノベーションには含まれます。

リフォームがあくまでも新築の時の状態に戻す、あるいは近づけることが目的なのに対して、リノベーションは新たな価値をプラスアルファとして創造します。

どちらを狙う?

基本的には私たちが部屋を借りる場合、多かれ少なかれリフォームは行われると思います。壁紙の張り替えや床がクッションフロアなら張り替え、畳なら表替えはすることでしょう。

一方でリノベーション物件はそれほど数はありません。設置物が新品のことが多く、また住みやすさを考えて大幅な変更を加えているので、リノベーション物件のほうがいいような気もしますが、それは人と場合によりけりでしょう。

なぜなら、リノベーションをするような物件はまず間違いなく建物自体はそのままでは入居希望者を探すのが厳しいほど老朽化しているからです。たとえ部屋はリノベーション済みできれいになっていたとしても、中の目に見えない配管がどうなっているのかわかりませんし、ネズミやゴキブリが住み着いていることだってないとは言えません。

また、あまり古い建物だと、耐震性に不安もあります。日本の耐震基準は1981年に大きく変わっているので、それ以前のものだと不安かもしれません。しかし、後付けの耐震技術も日進月歩で進歩しているので、リノベーションのついでに耐震補強工事をしているのであれば、そんじょそこらの新築よりもよっぽど強固という場合もあります。

そのあたりは、物件によって違うので気になるなら借りる前に問い合わせてみましょう。

リノベーション物件に住みたいなら

やはり大規模に手が入って最新設備があり、さらにおしゃれにもなっているレトロおしゃれなリノベーション物件に住みたいなら、いくつか狙い目があります。

エレベーターなし物件を探す

賃貸物件の大家さんが一番苦戦するのが、古いエレベーターなしの物件です。2階や3階ならまだしも、4階5階になると入居希望者はめっきりと少なくなります。

それもそうですよね。ゴミ捨ての時も大きなゴミを持って階段を下りていかなければいけないし、大荷物を持っていたら一人で運ぶのは大変です。新聞はたいてい一階の新聞受けに入れられるので、毎朝取りにいくのも億劫だし、急いでいるときに一階まで降りてから忘れ物に気づいたときなどは本当に悲しい気分になります。

こんなデメリットがいっぱいのエレベーターなし物件なので、家賃が少し安くなることもありますが、それでも人が入らない場合、大家さんが思い切ってリノベーションをするケースも多々あります。

たとえば、30平方メートルのごく普通の大きさの1LDKが2戸という物件の間の壁をぶち抜いて、広々20畳のリビングがある開放的な1LDKにしたとします。最上階なので抜けも景色も抜群に良く、さらにほぼ家の四方に窓があるという明るさと風通しは抜群の家になります。

このように、エレベーターなしの物件なら、大家さんがかなり気合を入れてリノベーションをしているケースも多いので、築年数が古いからといって候補から外してしまわず、よく探してみましょう。

古いオフィス街を探す

東京都心部で一時リノベーションマンションが爆発的に増えたのは、老朽化してインフラが間に合わないオフィスビルの再利用問題がきっかけでした。南青山や六本木、銀座など人気のエリアにこういった物件が多いのですが、他にも神田エリアなど古いオフィスビルが生まれ変わるケースは多いので、古めのオフィスビルが立ち並ぶような場所を重点的に見てみてもいいでしょう。

リフォームやリノベーション物件の狙い目は団地

団地というとそこはかとなく昭和の香りがする古臭い建物、貧乏くさい、老朽化がひどい、高齢者ばかり住んでいる、など敬遠してしまう人もいるかもしれませんが、実は今、団地が大きな進化をしようとしています。

新築物件よりもリフォーム、リノベーション物件でお得な家賃の味のある生活をしたいと考えているなら、今、狙い目は団地です。

UR都市機構のコラボリノベーション団地

UR都市機構は、古く入居希望者がなかなかない団地物件をIKEA、無印良品、東急ハンズなどのおしゃれ系インテリアショップとコラボしてフルリノベーションしたところ、これが大ヒットしています。

UR都市機構の団地は、建物自体は古くても造りはしっかりとしているし、昔のデザインなら周辺に公園や緑がふんだんに配置されていたり、保育所があったりとちょっと新しく建てるものでは無理なほど贅沢なことが多いのです。

そんな団地をインテリアショップが腕によりをかけてリノベーションしているので、日当たり、風通し、そして家賃と一級の住み心地です。

まだ数は少ないのですが、これだけ話題になっているので、これからどんどん増えてくるでしょうし、参入するインテリアショップも増えると思います。

自分でやる!リフォーム団地

リノベーションほど大規模なことはできなくても、床の張り替えやペンキ塗りくらいのリフォームなら自分でできるというDIYが趣味な人なら、原状回復必要なし、好きにリフォームできる団地がおすすめです。

IKEAと東京インテリアの巨大店舗が隣り合っているという大阪随一のインテリアの街、大正区ではインテリアコーディネートの会社とコラボして「TAISHO☆UPプロジェクト」と銘打って、原則原状回復必要なし、好きにリフォームしてお得な家賃で住めるという新たなシステムを始めました。

しかも団地一階にはDIYワークショップを開設し、目の前はホームセンターですから、これは多少腕に覚えがある人は自分でやりたくなりますよね。

日本はスクラップ&ビルド、家は住む人が建て、住み終わったら壊すという文化がありますが、古いものを上手に利用して新築同様にするリフォーム、新たな価値をプラスするリノベーションなど、これから新たな住まいの形が増えてくるのは間違いありません。