敷金が返金されるまでの手順と期間について

今住んでいる部屋を引き払った後に返金される敷金を次の引っ越し費用の足しにしよう、と思っている人は要注意です。なぜなら、部屋を明け渡してすぐに敷金を返してくれることはめったにないからです。

敷金の返金をあてにするのではなく、引っ越し費用は別に確保しておいた方が良いでしょう。実際に敷金が返金されるまでの流れと、かかる期間について説明します。

退去立ち会いから明け渡しまでの流れは?

敷金がいくら戻ってくることになるのかは、退去の立ち会いにかかっているといえます。
もちろん入居中は不注意で傷をつけたり落ちない汚れをつけてしまったりということがないよう、気をつけて生活するのが前提です。

退去立ち会いではどのようなことを行い、退去をして部屋を完全に明け渡すまでにはどのような手続きが必要なのでしょうか。

引っ越し前の立ち会いとは?

まず、退去の立ち会い希望日を管理会社に連絡します。少なくとも1週間前までには連絡をしておきましょう。室内の荷物を全部搬出した後、部屋が空っぽになった状態で管理会社の担当者と借主が行うのが一般的です。場合によっては、大家や内装工事業者が同席するところもあるようです。

引っ越し業者が荷物を搬出した後すぐでも良いし、解約日までに間があれば落ち着いた頃にある程度の掃除をしてからでも構いません。ただ、鍵を返却するまでは完全な退去とはならないため、日割り家賃が生じてしまいます。荷物の搬出後はなるべく早いうちに退去立ち会いをして部屋を明け渡し、鍵を返却したいですね。

入居時のチェック項目と合わせて確認

退去の立ち会いでは、管理会社の担当者と借主が入居時の室内チェック表に基づき確認をします。新たに増えた傷や汚れなどがないか、設備が壊れたりしていないか、残置物がないかなどを場所ごとにチェックします。残置物とは、入居者が退去の際に残していったものです。

忘れ物にしろ、不要だから置いて行ったにしろ、撤去費用がかかってしまいます。収納棚や押し入れの天袋など、目の届かない奥に忘れ物がないかも確認します。

もし、フローリングや壁や柱などに傷があれば、いつ頃どうやってついた傷なのかを説明しましょう。わからなければ無理に説明する必要はありません。そのように全部の部屋や収納場所、お風呂や洗面所、トイレや玄関等を確認します。

不動産業者の担当者によっては、この障子の張り替えはいくらぐらい、この傷の補修はいくらぐらいと、知識があればおおまかな概算金額を教えてもらえることもあります。しかし、「言った言わない」の後々のトラブルを懸念して、その場ではいっさい教えてくれないこともあるようです。
新しい物件の場合丁寧に確認することもあるかもしれませんが、もともと築年数が古く、リフォームしたばかりの物件でもなければそうそう細かくチェックすることもないでしょう。大体3部屋でも1時間もあれば終わるのではないでしょうか。目立つ傷や汚れがなければ、もっと短時間で終わります。

公共料金の解約確認

退去日までに電気、水道、ガスの公共料金や、新聞の解約手続きをしてあるか確認されますので、それまでに手続きを終えておきましょう。

全てのカギを返却

明け渡す際には、管理会社から受け取った鍵の原本とコピー、家族に持たせるために複製した鍵のコピー全てを返却します。あらかじめ家族全員から回収しておきましょう。

最後にチェック項目の確認、サイン

入居時と照らし合わせて増えた傷や破損や汚損等のチェックをした箇所に間違いがなければ、サインをして終わりです。もし、身に覚えのない破損等、疑問点があればその場ではサインをしない方が良いでしょう。

家族に確認してみる、引っ越し業者が荷物を運ぶ際につけた可能性があるので確認してみるなどとして、納得の行かないままサインをするのは避けてください。とりあえず破損の状況を写真に残しておいて、心当たりのある人に尋ねてみましょう。

しかし、入居時にチェックしたときに見落としたものの修繕は、基本的には入居者の費用負担になります。

原状回復に要する費用は?

実際にかかる費用は内装工事業者が直接下見をしなければわかりません。修繕費用の見積もりは、内装工事業者から管理会社へ報告されます。その費用に基づき大家と借主の費用負担が決定します。

見積書や精算書が郵送されてくる

管理会社が発行する敷金精算書や見積書が、引っ越し先にファックスや郵便で送られてきます。さて、その中身はどのような内訳になっているでしょうか。実は、賃貸物件に関するトラブルで1番多いのがこの敷金返還に関することです。

納得がいけば同意の連絡をする

借主が借りていた住居を明け渡す際には、エアコンを取り付けたり、壁に棚を取り付けたり等の造作に変更を加えていた場合は、撤去して元の入居時の状態に戻す義務が生じます。借主の不注意で壊してしまった設備も借主が修繕費を負担しなければなりません。

しかし、インターホンの音声が途切れる、エアコンのカバーが上がらず運転不能など、通常使用の範囲内で長年使い続けた設備が壊れてしまった場合は、借主が費用負担をすることは本来ありません。もうすぐ退去予定だからと壊れたまま放置せずに、壊れた時点ですぐに連絡をしましょう。

また、畳や壁紙の日焼けは避けられません。そのように通常に生活をしていても防ぐことのできない色褪せや日焼けは、通常損耗として借主に修繕の負担義務はありません。

それなのに借主に全額費用負担を請求したり、相場とはかけ離れた高額の修繕費を請求したりすることによりトラブルになってしまうのです。記載内容に相違がなく費用負担の割合や金額に納得がいけば、同意したことを連絡しましょう。サインをしてファックスや郵便で返送するか、電話連絡だけですむこともあります。

疑問があれば同意しない

昔はどこをどう修繕するのかの詳しい記載がなく、ただ金額だけを書いたものだけが送られてくることもありました。どこにどのような修繕が必要なのか、内訳の記載のないものではさっぱりわかりません。また、いくら返金しましたとだけ報告してくるところもあるようです。

納得のいかないものに対しては同意してはいけません。何の返事もしなければ同意したものと見なされてしまいます。内訳の記載がされていないものは、それぞれにかかる金額を明記した明細書を出してもらいましょう。

また、修繕費が高額すぎると感じた場合は、他の業者の見積もりも取ってもらうように依頼しましょう。とりあえずは、このように同意できない意思を伝えなければいけません。

しかし、取り合ってくれなかったり話がこじれてしまったりしたときは、第三者の力を借りたほうが良い場合があります。まずはこのようなトラブルになった場合の対処の仕方が示されていることがありますので調べてみましょう。

国民生活センターで同様の事例がないか

国民生活センターに寄せられる相談の事例でも1番多いのが敷金の返還に関する内容です。過去にそのような事例があれば解決のヒントになることがあります。以下のURLの右上の検索ボックスにキーワードを入れることにより調べられます。検索ボックス左側には「検索方法について」のリングがありますので、参考にしてください。

※参照URL: 独立行政法人国民生活センター

国土交通省のガイドラインも

「この修繕箇所は本当に借主が支払わなければならないものなのか」、「大家にもいくらか負担義務があるのではないか」など、疑問に思うことがあれば、国土交通省が公示する「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が参考になります。

※参照URL: 国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

昔からこのような敷金トラブルが後を絶たないことから、不動産業者の監督官庁でもある国土交通省が敷金のトラブルを未然に防ぐことを目的として指針を示したものです。通常損耗の負担割合など細かく例示されていますので、ぜひ参考にしましょう。自分のケースと同様なものがあれば、その部分を示して管理会社と交渉してください。

専門の窓口で相談してみよう

話がこじれてしまってらちがあかない、管理会社が交渉してくれても大家が聞く耳を持たない、どうも大家が知らないところで管理会社が中間搾取をしているのでは、等の場合は、当事者同士で解決するのは困難です。

自治体の消費生活センターなどに相談をすれば、「この不動産屋は昔からいろいろあってね」などの情報がわかることがあります。直接担当者が不動産会社に電話で問い合わせると、すぐに態度を軟化させて解決に至るケースもあるようです。

しかし、担当者により相談は受け付け、対策などの指示はしてくれても、実際の交渉はしない、また、直接動かないように言われている、としている自治体もあります。そのような場合でも、昔から地元の困りごとを多く見聞きしているため、内情をよく知っていて適切なアドバイスをしてくれることが多いです。ぜひ活用してみましょう。

自治体のホームページや広報誌などに連絡先や利用案内が記載されています。また、消費者ホットライン「局番なしの188(いやや!)」で、近くの消費生活相談窓口を案内してもらえます。

敷金が返金されるまでの期間は?

ひととおりの手順を踏んで実際に自分の手元に敷金が返金されるのは、どのくらい後になるのでしょうか。

1カ月以内のところもあるが、1カ月後から2カ月までの間が多い

結論は、業者により違います。会社で決められた締め日や支払い日が関係することもありますし、家族経営などの小さい業者は、小口現金はその場でやり取りすることもあるようです。

借主の費用負担がない場合、早い会社では退去立ち会いの当日に現金を用意してくるところもあるようです。一般的には退去後1カ月から2カ月の間に口座に入金される形が多いと言えそうです。

いつまでも返金されないときは

もし退去立ち会いをした後、管理会社から修繕費についての連絡もなく、1カ月たっても何の音沙汰もない場合は、こちらから連絡を取りましょう。伝えていた引っ越し先の住所が誤っていたり、電話番号を間違えて伝えていたりということも考えられます。そのような場合は、こちらから連絡をとらない限りは返金してもらえません。

まとめ

大家や不動産屋によって敷金返金の期間はかなりの差があるため、近々に支払わなければならない費用の当てにしてはいけません。「少しぐらい減ってもいいから早く返金してほしい」という態度を見せるのもマイナスになってしまいます。

2017年4月、120年ぶりの民法の大改正で、敷金は原則返還することが規定され、これにより悪どい商売をしていた不動産屋が減ることが期待されます。しかし、不動産屋が大家の意識を改革しない限りは、なかなか一朝一夕には改善されるものでもないでしょう。借りる側が正しい知識を得て、自衛することも大切です。

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