大阪で高齢者やお年寄りが住みやすい街はどこ?

大阪で高齢者やお年寄りが住みやすい街はどこ?

少子高齢化は現在日本が抱える大きな問題ですが、大阪も例外でありません。それどころか労働者人口の東京への一極集中はとどまるところを知らず、大阪も高齢化進行中です。そんな大阪ですが、高齢者が住みやすいのはどんな町でしょう?

基本的に大阪は高齢者が住みやすいのか?

大阪は言うまでもなく日本を代表する大都市ですが、東京と比べると大阪という町ははるかに高齢者にとっては親切だと思います。その理由はいくつかあります。

大阪に高齢者が住みやすい理由

まず、大阪の町はコンパクトです。東京に比べると町の規模が格段に小さいので、どこに行くのでも移動距離はとても短くなります。

たとえば大阪の都心部に住んでいたとしても、阪急電車で1時間足らずで箕面温泉で日帰り温泉に入って名物の紅葉の天ぷらを楽しむことができます。大阪市内はさらに範囲が小さく、キタ、あるいはミナミの繁華街に行くのにどこからでもそう時間はかかりません。

坂が少ない

基本的に大阪は町体がフラットで、かつての「水都」の名残で縦横にめぐらされた水路が道路になっていたりするため、とても歩きやすいし自転車も楽です。高齢者も電動ではなく普通のママチャリで移動しています。

人が温かい

やはり大阪はいい意味でも悪い意味でも「ゆるさ」と「あたたかさ」があります。たとえば東京で誰かに道を聞いたとしても、せいぜい足を止めて教えてくれる程度だと思いますが、大阪ではかなりの高確率で「ほな一緒に行きましょか」と連れて行ってくれようとします。

中にはたとえ知らない場所でも「ちょっと待ってて」とスマホで調べてまで教えてくれようとする人もいて、ありがたいやらかえって時間がかかって痛し痒しやらな気分になることもあったりして、大阪って温かいなあと感じる瞬間です。

雪が降らない

大阪市内はあまり雪が降りません。東京では最近はなぜか毎年のように雪が積もる日があり、今日は何人転倒したとニュースになりますが、大阪市内はほとんど雪は降りません。降っても積もりません。冬の気候がマイルドなのは高齢者にはありがたいでしょう。

大阪に高齢者が住みにくい理由

いいところばかりではありません。特に人口が東京に一極集中している今、大阪は圧倒的に「お金が足りない」です。

交通難民化する危険性がある

大阪は東京ほどバス路線がありません。東京なら、高齢者は乗り降りが大変な電車や地下鉄よりほぼドアトゥドアで目的地に行けるバスを便利に使いこなしていますが、大阪では予算が大幅に削減されてバス路線もひどく減少し、あっても一日に数本とか、使い物にならないところも多くなりました。

バスは足腰が弱った高齢者にはライフラインと言ってもいい存在です。近くにバス路線があり、将来的にも廃止にならないような場所を注意深く選びましょう。

津波被害

南海トラフ地震が現実味を帯びていますが、大阪市内はフラットということは津波被害を受けやすいということです。実際市内あちこちに「波除神社」や「津波の碑」があります。

ただ、大阪の場合津波警報が出てから数分で大津波がやってくるというのではなく、避難をする時間はあるはずです。それも鑑みて、たとえば「足が悪くてもあそこまで逃げられる」という目安がある場所を選びましょう。

地域の特色がくっきり

東京と大阪の大きな違いは高級住宅街がどこにあるかではないでしょうか。東京でお金持ちが住んでいる場所、たとえば由緒ある武家屋敷が多かった千代田区番町や品川区池田山あるいは渋谷区松濤など、「そこ生まれ」と聞いたら、ああ、お金持ちだね、と言われるような地域はもれなく都心にあります。

一方、大阪はお金持ちが住む場所の多くは都心ではなく郊外です。実は、世界的に見ても多くの都市は同じように中心部は貧困層でお金持ちは離れた場所に住むのがスタンダードです。東京のほうが変わっているのかもしれません。

都心は貧困・郊外は金持ち

今では大阪も再開発が進み、グランフロントや、あべのハルカスを筆頭に大規模な商業施設を中心に都心部も随分ときれいになりましたが、伝統的に大阪エリアは、「お金持ちは郊外、それも阪急沿線に住むもので、都心は働きに来る場所。そこに住んでいるのは収入が低い人たちで町も汚い」という刷り込みがあります。

考えてみてください、多くの有名芸能人居を構える箕面など大阪の高級住宅地として連想する北摂はかなり北だし、有名な芦屋なんて兵庫県です。

今は都心部も中之島近辺に何億円もする超がつく高級マンションがにょきにょきと建ったりしてかなり再開発されていますが、それでも「都心=庶民派、郊外=お金持ち」という基本というかマインドはあまり変わっていないので、まずどちらが合っているかを決めるのがいいと思います。

正直に言うと、高級住宅街だから住みやすいかというと決してそういうこともないと思います。郊外のお金持ちが多く住む地域は坂が多いところもあり、運転手付き自家用車を乗り回せるような人でないと、なかなか移動は大変かもしれませんし、物価も高いです。大阪名物の安売りスーパー玉出もなかなかありません。

その代わりいかりスーパーのような高級スーパーがあるやないか、という人もいますが、高級スーパーでしか買えない食材ってそうそうはないですよね。「どうしてもビゴさんのフランスパンじゃなきゃだめだ」というくらいの情熱とこだわりがない限り、品ぞろえは変わらないと思います。

つまり、都心に住んで「普段は安いものメインだけどたまに気合を入れて遠出してでも高いものも買いに行く」というライフスタイルか、お金持ちエリアに住んで「基本的に食費は高くても気にしない」かどちらかだと思います。わざわざ日常的に口にする安いものを買うために遠出する人はまずいませんからね。

高齢化している地域・していない地域

住んでいる人の経済状況やマインドに加えて、今大阪、特に大阪市内では高齢化している地域と若い世代がどんどん流入している地域、また人口が増えている地域と減っている地域がくっきりと分かれてきています。

大阪市が発表している統計によると、近年人口が増えているのは都心地域です。こちらは若い世代が多く流入していて、それに対して西成区など都心周辺地域は若者が出て行って高齢者が残るため、一気に高齢化するという状況が出てきています。

高齢化した地域に住んでコミュニティの一員になるか、あるいは若い世代に混じって刺激を受けるか、そこは個人の好みでしょう。

参照:大阪市地域別現状分析

実はおすすめ、阪堺電車沿線!

大阪の中でもディープと言われるエリアを大阪市内から堺市に走る阪堺電車。東京でも三ノ輪にかろうじて残っているチンチン電車、通称ちん電が大阪では現役バリバリです。あべのハルカスのおひざ元、天王寺駅と通天閣のある、恵美須町から西成区を抜け、住吉大社の近辺で合流して史跡が残る堺市を浜寺公園まで走ります。

今では人気観光路線にもなっているので、おそらくしばらくは廃線にはならないでしょうし、乗り降りも楽です。本数も多く、本当に庶民の足として現役でがんばってはります。なぜこの路線がおすすめかというと、便利ということ以外に、大阪の様々な顔を持つ町を見られるからです。

最先端スポットからすっかり往時の面影もなくなって海外バックパッカーの姿が目立つあいりん地区の端っこ、市内随一の高級住宅街手塚山から寺町、無料のお散歩コースとしてはできすぎの浜寺公園まで、乗っているだけで大阪のいろいろな顔が見られるので、どのあたりが自分に合っているのか、イメージしやすいでしょう。

基本的に大阪は高齢者にとても優しく住みやすい町です。確かに「ガラが悪い」なんていわれている地域もありますが、実際に行ってみると普通の住宅街だったりもするので、まずは自分の目で見てみてください。