東京で高齢者やお年寄りが住みやすい街はどこ?

高齢になった時どこに住むか、高齢化社会では大きな問題になってきます。「どこに住むか」には二つの意味があります。一つは、住む家の問題です。体の自由がきかなくなって自宅での独居が難しくなったり、高齢のため賃貸住宅が見つからないなどの住宅問題。

もう一つは、高齢者が住みやすいかどうかという町全体の問題です。今回は後者、東京で高齢者が住みやすい町について考えてみましょう。

基本は住み慣れた町がいちばん

東北大震災で原発事故が起き、多くの地域住民が住み慣れた町を捨てて移住することを強いられました。

移住した経験者に話を聞いてみると、事故前にはまったく元気で仕事も普通にしていたおじいちゃんが避難生活を始めたとたんに弱り始め、それまで頭もしっかりしていたのに「いつ帰れるんだ?」と聞いてばかりいるようになったそうです。

そして山歩きや畑仕事を人並以上にしていたのに、すっかり外出をすることもなくなり、一年を過ぎたころには認知症の症状が顕著になりました。若く順応力がある時代と違い、高齢になってからの住み替えは、時には大きなダメージになります。

外出が怖くなる

体力があり、バランス感覚や筋力にも不安がない若い時であれば、少々の坂や階段、段差、ぬかるみ、信号などは怖くありません。しかし目も衰え、とっさのことに対処できなくなってくる高齢になると外出は私たちが思う以上に怖いものです。

また、住み慣れた町とは違って道を覚えることも難しいかもしれません。どこにどんなトラップがあるのかわかっている町からまったく知らない場所に移ると、外出が怖くなって外に出ることそのものが億劫になる人もいます。

共通の話題を話せる友達がいなくなる

年をとってくると新しい友人を作ることは難しくなります。若い時から知り合いで気心が知れた近所の人と別れてまったく知らない人の中に入ることは大きなストレスになります。昔話ができないというのは寂しいものです。

どこに何があるかわからない

年をとってくると日常生活の中でのルーティンを変えることもストレスになります。食料品はあそこで、トイレットペーパーはこの店で、と決めていたのが一からやり直しになってしまうと、動くこと、日常生活をきちんと送ることそのものが億劫になってしまいかねません。

近親者と同居や近居になるからそのあたりのケアは家族ができるからいいという人もいるかもしれませんが、その考え方が高齢者の自立した生き方を阻害することもあるということは頭に置いておきましょう。

それでも引越すなら

とは言え、高齢になってから引越す必要が出てくる場合もあるでしょう。たとえば東京23区で高齢者に人気の街の条件とは何でしょう?

なんと言っても都心

最近、多摩ニュータウンなど、昭和の時代に開発された町のゴーストタウン化が言われています。住民が高齢化し、その子どもの世代は都心部に出て行ってしまったため、櫛の歯が欠けたように空き家だらけになり、スーパーが閉店したりして住みにくくなります。

また、年をとって移動が億劫になった時、病院に行くのでも、デパートに買い物に出るでも、観劇をするでも、タクシーでちょっと行けるというのはそれだけで大メリットです。

最近では頑張って子育てをしながら買った郊外のマイホームを手放して都心のマンションに引っ越してくる高齢者が増加しています。やはり、利便性は何にも勝るということでしょうか。

買い物難民にならない

最近にわかにクローズアップされているのが買い物難民、あるいは交通弱者と言われる人たちです。実はこの問題は古くからあります。

バブルの頃、地上げ屋のとった手段が八百屋やスーパーマーケット、日用雑貨の店といった日常生活を送るのに必要不可欠な店から買収してつぶしていくという手段でした。それまで東京の中心部にもそれなりに住宅街はあり、多くの人が暮らしていたのですが、当時はネット通販もなく、しかも自動車を持たない人が多かったため、買い物ができなくなってしかたなくみんな家を売り、都心から出て行ったのです。

この買い物難民、あるいは交通弱者と言われる問題は現在再び大きくなってきています。高齢者だけではなく、赤ちゃんを抱えた家庭などもあまり遠くへは出かけられませんが、大型のディスカウントストアやスーパーができることによって個人商店や商店街が弱体化し、閉店していく結果、買い物に使う自家用車がない世帯は困ることになります。

足腰が弱って長時間の歩行が難しくなっている高齢者ならなおさらです。いきなりネット通販に慣れろというのも無理な話でしょうから、近所に買い物ができる場所があるか、くれぐれも注意しましょう。

災害時に逃げやすい

首都直下型地震が東京を襲ったと考えた時に、怖いのが火災の被害です。現在でも木造の建物が密集している下町と言われる地域は、平常時ですら消防車の通行もままなりません。こんな場所であちこちから火の手が上がるような火災になった時、高齢者は逃げられるでしょうか。

また、最近これも社会問題になっている空き家問題もあります。親世帯が亡くなったり独居できなくなったものの、子ども世帯は別の場所に家を構えているため、古い家は空き家として残されます。

人の手入れが行き届かない空き家はあっという間に傷むので、地震の際には倒壊して道を塞いでしまう危険性は大きいです。そういった古い空き家があちこちにあるような場所は、災害時の避難路だけでなく放火の危険性もあるため高齢者には向いていないでしょう。

坂がきつすぎない

タレントのタモリさんが本を書いていますが、東京は坂の町です。昔の地名の多くは失われてしまいましたが、古い東京の住人に話を聞くと、大きな坂からほんの数メートル程度の小さな坂まで、あらゆる場所に坂があり、その一つ一つに名前がついていることに驚きます。

当然年をとってくると坂道歩きは関節にきます。東京に住む以上、坂と無縁で暮らすのは難しいですが、買い物やちょっとしたお出かけ程度は坂の上り下りがない場所がいいでしょう。

おすすめの街は?

以上の点を鑑みて、東京都内で高齢者が住みやすい町はどこなのか、2パターン、都心型と郊外型を考えてみましょう。

都心型・田町~新橋エリア

芝、田町、新橋、御成門といったあたりです。このあたりは都心でありながら町内会もしっかりしていて住人のつながりも深く、また慶応大学など周辺の大学や研究機関が社会実験を兼ねて地域住民のコミュニティ作りを研究しているので、かなり住みやすいと思います。

ただ、昔からの住人の絆が強い分、積極的にその中に入ってコミュニティの一員になるという意識がないと地域のお祭りも楽しめません。

郊外型・竹ノ塚エリア

足立区竹ノ塚に限らず、自分がそこに住む住まないに関わらず、大型団地があるというのはポイントが高いです。なぜなら、そこには必ず商店があるはずですし、万一商店がつぶれたとしても、団地には移動販売のトラックが必ず来るでしょう。最悪の買い物難民になる状況は避けられると思います。

また、最近は独居高齢者の孤立が社会問題化しているため、サークル活動も盛んで、中にはお茶に英会話にちぎり絵にと、家にいる間もないくらい忙しくしている人もいます。

くり返しますが、高齢になってからの引っ越しによる生活環境の変化は大きなストレスになります。健康のバランスを崩すきっかけになりかねないので、引っ越す本人はもちろん、家族や周囲の人も気を配ってあげましょう。

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