タウンハウスとテラスハウスの特徴と違い

タウンハウスとテラスハウスの特徴と違い

リアリティショーで一躍知られることになったテラスハウスとタウンハウスは、見た目が似ているために混同されがちです。

実際に持ち家にするなら、テラスハウスとタウンハウスは一般的な意味合いで違いがあるのですが、賃貸で暮らす分にはそれほど大きな違いはないかもしれません。集合住宅なのに一戸建て感覚で住むことができるテラスハウスとタウンハウスはどこが違うのでしょうか?

タウンハウスかテラスハウスか

そもそもタウンハウスやテラスハウスはどのような造りなのでしょうか?基本的にタウンハウスもテラスハウスもいくつかの建物が軒を連ねて建っているという状態です。多くは二階建てだったり、さらに半地下があったりして、住み心地としては一軒家に限りなく近くなります。

また、日本ではまだ少ないですが、一軒のタウンハウスやテラスハウスをオーナーが中で改造して上下に分けて、二軒の別のアパートメントとして貸しているケースもアメリカでは普通に見ることができます。

では、普通のアパートやマンションといった集合住宅とどこが違うのかというと、たとえばコーポやハイツと呼ばれるような軽量鉄骨のアパートは、階段や廊下を共有しています。

しかし、タウンハウスやテラスハウスは各戸の独立した玄関が表に面していて、建物の廊下や階段、エレベーターなどは共有しません。さらに、タウンハウスとテラスハウスの違いは所有する敷地の形態の違いになります。

テラスハウス

テラスハウスは独立した玄関と多くの場合小さな前庭があり、駐車スペースがあるところもあります。つまり、一軒一軒の独立性が極めて高く、一戸建てとの違いは壁を隣と共有していることのみと言っていいでしょう。

タウンハウス

前庭まですべてそれぞれの家が所有しているテラスハウスと違って、タウンハウスは家の前の部分などの敷地を共有します。つまり、テラスハウスの庭は多くの場合、門の中にあり、自分の個人の責任でメンテナンスをするものですが、タウンハウスで庭部分が共有スペースになっていたら、掃除やゴミステーションのメンテナンスなどの当番があるかもしれません。

しかし、賃貸の場合はいずれにせよ自己所有ではないので、住んでいる分にはあまり関係ないと言えるでしょう。

文化住宅は?

関西に住んでいる人にはなじみのある文化住宅、通称「ぶんか」もタウンハウスと考えていいと思います。文化住宅とは、昭和30年台から40年台によく建てられた木造モルタル二階建ての建物です。

当時としてはモダンで人気でしたが、さすがに老朽化のため数は減っています。しかし、当時はついていなかったお風呂が後付けでついていたり、中はびっくりするほどきれいにリフォームされている物件もあるので、お手頃家賃で広い家を探しているなら狙い目かもしれません。

テラスハウス、タウンハウスの住み心地は?

実際に住んでみると、テラスハウスやタウンハウスの住み心地はどうなのでしょうか?日本ではまだそれほど多くないだけに住み心地は気になるところですよね。

壁を共有するので音は気になる

テラスハウスやタウンハウスの大きなメリットは、一戸建て感覚です。子どもが騒いだり足音がドタドタするようなら、普通のマンションやアパートだと下の階への騒音が気になりますが、テラスハウスやタウンハウスは多くの場合上下階とも自分の家なので、足音などはそれほど気を遣う必要はないでしょう。

ただし、壁をお隣と共有しているためにお隣の音はかなり気になります。間に階段スペースや廊下スペース、物入れなどがあるならかなり低減はされますが、隣に住んでいる人の気配はなんとなく感じる程度には音がすることは覚悟したほうがいいでしょう。

窓が少ない

当たり前ですが、隣と接している壁の部分には窓がありません。ということは、家の前面が大きな通りに面していたりしてあまり大きな窓をとれないような造りだと、窓が少なく、家が暗く、風通しも悪く感じるかもしれません。

それを補うため、天窓をつけるケースも多いのですが、海外では逆に泥棒の侵入口になりやすいからと天窓をつぶしてしまう人もいます。

日本にタウンハウスやテラスハウスが少ない理由

たとえばニューヨークではブラウンストーンと呼ばれる落ち着いたテラスハウスが連なる街並みが高級住宅街になっています。しかし、日本の住宅街を見てみると、家と家が壁を共有してくっついているタウンハウスやテラスハウスは少ないですよね。

家が密集している場所に行ってよく見てみると、ほんの数センチでも隣家との間に隙間を空けているケースがほとんどです。

これは欧米の家が何十年、あるいは百年以上もそこにあり続けることを前提に建てられていることに対して、日本の家は基本的に住む人が建てて、その人が住まなくなったら壊して更地にして、新たにまた次に住む人が家を建てるというスクラップアンドビルドの文化があるせいではないでしょうか。

壁を共有しているお隣さんがいると、いざ自分の所有分だけ取り壊して建て替えたいとなった時に、多大な迷惑をかけます。また、もしかしたら自分の家だけ建て替えることは不可能な場合もあるかもしれません。こういった小回りの利かなさも、日本でタウンハウスやテラスハウスの数があまり多くない理由なのでしょう。

長屋はタウンハウス?

日本では新しいものを尊ぶスクラップ&ビルドの文化が根強いため、海外ほどタウンハウスやテラスハウスは多くないのではないかという考察をしましたが、よく考えたら、日本には「長屋」という文化がありました。

薄い壁一枚隔てていくつもの家族が肩を寄せ合って暮らしていた時代、日本人は今よりもおおらかだったのかもしれません。ちなみに長屋作りで一階の通りに面した部分が商店になっているものは町屋と呼ばれます。京都の京町屋が有名ですね。

落語の舞台になっている長屋では、「井戸端会議」という言葉の通り、コミュニティの中心となる共有の井戸や洗い場があって、そこで奥さんたちが集まって亭主の悪口を言い合ったりしていたわけです。

そう考えると、長屋はタウンハウスと言えるかもしれません。

現代風長屋が人気

最近はコミュニティ意識がもっと必要だと考える人が増えたせいか、現代風の長屋ともいえるタウンハウスもあります。一戸一戸は独立した造りでありながら、共有のスペースに花壇を作ったり、ちょっとした共有の庭で住民のバーベキューができるようにしたりするのが日本でも流行の兆しです。

さらに一歩進んで長屋におしゃれ感をプラスした「デザイナーズ長屋」なんて言葉も使われるようになりました。たとえば、両親が共働きの家でも同じタウンハウスの敷地内に年金生活をしている老夫婦が住んでいると、子どものお留守番も安心ですよね。

今はまだ管理組合を組織する持ち家のタウンハウスが多いですが、そのうちに賃貸でもシェアハウスにするには他人との距離が近すぎるが、ご近所さん付き合いはしたいという人たちに向けたタウンハウス物件が増えてくるかもしれません。

多くは二階建てで、各戸が独立した玄関から通りに出入りすることができるテラスハウスとタウンハウスは、日本ではまだあまり多くはありませんが、壁を共有する分だけ敷地を有効に使うことができるし、場所によっては一戸建て以上シェアハウス未満のご近所付き合いがあって住みやすいかもしれません。

共有の敷地があるかどうかというタウンハウスとテラスハウスの違いは、賃貸で借りて住む分にはあまり大きな影響はないと思うので、気にいった物件があれば呼び名にかかわらずチェックしておきましょう。